国際ベンチャーキャピタリスト 奮闘史

新米ベンチャーキャピタリストが投資を通じた新興国の資本市場活性化に奔走するブログ

開発金融~人材育成の重要性~

その国は日本を1.8倍程上回る面積を持ち、豊富な天然資源を有する。人口は6,000万人以上、国民の平均年齢は28歳、識字率は9割を超えるなど勤勉だ。にも関わらず国民一人あたりのGDPは世界でもかなり低い水準に留まる。その理由はこの国が長きにわたり世界から孤立し、海外からのノウハウ、投資が滞り、結果、国内におけるインフラが圧倒的に足りていないことに起因しているのではないかと、この国の発展に携わって3年目を迎える僕の現状の分析だ。

その国には近年、日本を初め欧米の先進国や一帯一路政策を掲げる中国からの巨額の投資が流入している。他方で、成長のスピードは当初見込まれたレベルと比較するとお世辞にも早いとは言えない。

金融インフラシステムにおいても、証券取引所が数年前華々しく開業したものの、2020年の現時点においても上場企業は指で数えられる程度だ。

似たような状況は他国でも起こっている、例えばアフリカなどが良い例だ。インフラや巨額のマネー、人材を投入しても思ったような成果をあげられてい無いのではないか?中国はその点したたかで、アフリカに多額の直接投資を行うと同時に、国内の失業者を派遣するなどを行ない、労働市場を創造している。

M国とアフリカの発展における共通項は何か?ひとえにそれは人材育成だと思う、荒れた土地に井戸を設置しても使い方のわかる人間や、その土地で井戸を掘れる人間を育成しない事には井戸を巡って奪い合いが起こったり、最悪井戸を解体して部品を売り捌いてしまう可能性だってある。重要な事は支援を行う人の目線に立ち親切の押し売りにならないようにする事だと感じた。

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元日銀マンでルワンダ中央銀行総裁も務めた故服部正也氏の回顧録ルワンダ中央銀行総裁日記」は彼がルワンダ人目線で国そして国民の成長フェーズに合わせて色々な政策を取っていた事がリアルに描かれており大変勉強になる。

僕は金融機関の人間、ビジネスチャンスを狙った下心はあるけれど、少なくとも基金運営業務を行なっている時ぐらいは故服部氏になったつもりで業務に当たろうと思った。

 

ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)

ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)

  • 作者:服部 正也
  • 発売日: 2009/11/01
  • メディア: 新書