国際ベンチャーキャピタリスト 奮闘史

新米ベンチャーキャピタリストが投資を通じた新興国の資本市場活性化に奔走するブログ

2022年W杯 沸き立つ世界の裏で起こる懸念

日本時間12月2日、日本は強豪スペインを2-1で下し、2022年FIFAワールドカップ(W杯)カタール大会の決勝トーナメントを1位通過した。日本の決勝トーナメント進出は前回2018年ロシア大会も含めて4回目となった。

日本がグループEで戦った国はスペイン、ドイツ、コスタリカとどれも競合国、一方的な敗退が多く囁かれる中、世界ランク11位のドイツ、7位のスペインを撃破した事は世界も驚いたに違いない。ちなみに、前半ビハインドから後半逆転しての勝利を1つの大会で2度以上記録したのは、1938年大会のブラジル、1970年大会の西ドイツに次いで52年ぶり3チーム目との事である。日本チームの闘志溢れるプレーがドーハの奇跡を呼んだことは間違いない。

さて僕も含めて日本や世界はw杯で盛り上がっているが、その裏で様々な気になる出来事が起こっているので一部紹介したい。

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まず中国だが、新型コロナウイルス対策として共産党によって導入されたゼロコロナ政策に対する抗議活動が上海、北京、成都、武漢といった大都市から全国に広がっており、さながら1989年の天安門事件を彷彿とさせる。中国国民が半ば公然と共産党政権に対して抗議を行うことは極めて稀であり、今年の10月3期目に突入した習近平を初めとした指導部は政権発足早々に煮湯を飲まされる結果となった。中国共産党によると今回のデモはゼロコロナ政策による行動制限のストレスに起因するものと発表しているが、個人的にはこれはあくまでもきっかけに過ぎず、広がる貧富の格差に対する不満等中国が長らく抱えていた問題が爆発したに過ぎないと考えている。中国ではこれまでもデモなどが発生した際はSNSの検閲、フェイクニュースによるサボタージュ等行っていたが、検閲の結果、人民解放軍による弾圧を知らない世代が多数存在し、デモも躊躇しない人間が一定数いると思われ皮肉だ。今後中国政府は行動緩和等を行い、国民のガス抜きを行うと観測されているが、中国国民が接種している中国製のワクチンは性能面で欧米のそれと大きく劣る事、そもそもの接種率が高くないことに鑑みると緩和の結果感染者が増加し、死者が万が一増えた場合、中国大陸で大きな混乱が起こる可能性がある。

続いて、台湾では26日に台湾統一地方選が行われ、蔡英文総統率いる与党・民主進歩党(民進党)が、台北市等の首長ポストを落とし大敗、同日党首を辞任した。民進党は独立志向が高い事で知られてており、今回の結果を受けて2024年に行われる総統選挙においても民進党は中国国民党(国民党)に苦戦を強いられるのではないかと一部観測されるが、下記のような見解もあり一筋縄ではいかないようだ。

日付の現地紙「聯合報」は「今回の選挙結果により国民党の支持者は2024年に向けて自信を深めることになったが、国民党は親中というラベルをどのようにはがすかといった問題が引き続き残っている」とした。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/11/e63adab09904673f.html

このように異なる分野で内政が不安定な中国と台湾において偶発的な衝突が起こる蓋然性はゼロではない。欧米諸国を中心に年末11月末から12月後半までバケーションを取る人が多い中、国際情勢は引き続き余談を許さない展開になっている。