国際ベンチャーキャピタリスト 奮闘史

新米ベンチャーキャピタリストが投資を通じた新興国の資本市場活性化に奔走するブログ

イノベーションについて

僕は去年の4月に投資部門に転籍したわけだが、異動のモチベーションには企画部門におけるミャンマー資本市場発展のための取り組みや社外勉強会で地域創生のためのイノベーションについて勉強したことが大きい。

イノベーションとは生産技術の革新・新機軸だけでなく、新商品の導入、新市場・新資源の開拓、新しい経営組織の形成などを含むが、日本では技術革新という狭い意味で用いることもある。

これを僕の企画部門での業務に当てはめるとミャンマー発展の暁にはミャンマーの金融市場で様々な案件獲得の機会だったりその市場参入により培ったノウハウを日本に輸入することが可能となる事だ。

また、僕が現在在籍する投資部門においては将来有望なユニコーンと言われるスタートアップへの投資を通じて投資先の成長の果実をダイレクトに享受する事が可能だ。

イノベーションが生まれるために一役買っているのがベンチャーキャピタル(VC)だ。VCはスタートアップといったアイディアや革新的技術はあるが資金がない企業に対してリスクマネーを投入し、将来その企業が上場した際、投入対価として得た株式と上場時点の株式の差額をリターン(業界用語ではこれをエグジットという)として得る事を生業とする投資会社だ。

補足: スタートアップ起業が上場に至るまでステージ別にエンジェル投資家、アクセレレーター、インキュベーターと言ったプレイヤーより経営ノウハウや資金供給を受けるのが一般的だが、ここでは簡略化のため割愛する。

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VCのような機能を担う会社はなにもセコイア・キャピタルSequoia Capital)のような超有名企業だけとは限らない。Facebookに巨額に出資を行い初代CEOを務めたSean Parker等も有名だし、国内ではソフトバンクや大手商社も業界では頭角を現している。

これらプレイヤーは日々優良なベンチャー企業やスタートアップを探しており、その中でも企業価値が1000億を超える企業はユニコーンと呼ばれる。近年は中国のTikTok運営元のBytedanceやアメリカの航空宇宙メーカーのSpaceXなどが著名なユニコーンとしてメデイア等に取り沙汰されている。

アメリカの調査会社のCB Insightsによると2022年3月末時点の世界のユニコーンアメリカが500社超、中国が約200社と飛び抜けており、次いでアジア・太平洋およびヨーロッパが続く。一方、日本のユニコーン企業はわずか6社と大変寂しい状況となっている。

https://www.cbinsights.com/research-unicorn-companies

日本のこのような現状にはスタートアップが生まれないと言う文脈で失敗を恐れる文化、同調圧力等、様々な要因があると思うが、この国を次のシリコンバレーあるいは深圳にするためには、国や業界団体による資金面の一層の支援に加え、失敗は成功の母、むしろチャレンジしない事が格好悪いといった様なマインドセットの構築が必要なのではないかと感じている。