国際ベンチャーキャピタリスト 奮闘史

新米ベンチャーキャピタリストが投資を通じた新興国の資本市場活性化に奔走するブログ

大臣へのレター~外交プロトコル~

企画部門の業務は一言で言うと何でも屋だ。会社の色々な部門から様々なプロジェクトの相談を受けたり、異例事項、当局対応、買収案件等の会社を横断する案件では主管部署となり各種調整を行う。この様な事もあり、企画部門では会社の様々なビジネスに関わる機会があり、多くの部門の社員と関わりを持つ事ができる他、会社の役員とも関わりができる(良いのか悪いのか分からないが)。企画部門が出世部門である一方で劇務と言われる所以はこんな所だろうか。

私が担当する事となった財団法人の運営は前述で記載した業務のうち、会社を横断する案件だ。ASEANのM国の将来を担う政府や政府関連職員に留学機会を提供し公共政策に関する知識を得てもらい、国の発展に貢献してもらう事が設立の目的だ。また、基金の事業を通じて当社のM国での知名度を高めるなどのシナジー効果もある。なお、財団法人の事業は広く公益性が求められ、会社のビジネスに直接リンクさせる事は憚れない事を強調しておく。

「大臣に手紙を送る?まじっすか??」M国の英語学校の見積依頼を受け取り、英語学校を選別している最中、課長からこんな指示を受けた。

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「そりゃあM国政府の官僚から留学生を募集するわけだから大臣宛にレターを送るのはマナーでしょ?」なるほど、これが所謂外交プロトコルか。

過去のレターを参考に、本文をアップデートしたり、宛名に変更がないか亀仙人に確認する。この作業が中々難しい、M国の人の名前はスペルを見ただけで男女の区別がつかない事は勿論、大臣に対する敬称についてもHis Excellencyといった一般的には余り聞きなれないフレーズを使う他、招聘先の省によっては大臣より一つ下のポジションの担当者にレター送付するため敬称も都度調整を加える必要があるからだ。レターを完成させ担当役員の署名ももらった。あとはレターをメールするだけだ。そしてメールの宛先を確認した際気づく、大臣のメールアドレスってGmailなん?基本的なインフラがまだまだ少ないM国においてGmailを使うのは合理的だと思う一方で、それぞれの省が独自のドメインを持っていないこの国をしっかりサポートする必要性を改めて感じた。

 補足:亀仙人ことティエムさんは元官僚で、その強力なコミュニケーション能力とフットワークの軽さで退職後10年以上たった今現在でもM国政府に多くのコネクションを持つ。

 

参考:

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/local/database/pdfs/protocol25.pdf

 国際儀礼の基礎知識

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