日本から遠隔で留学生採用を行うのは何かと苦労が多い。時差はもちろんビジネス慣習が日本のそれと大きく異なるからだ。取り分け期限に関しては良い言い方をすれば寛大、悪い言い方をするとルーズだ。例えば英語学校の見積もりを依頼するとこちらが設定した回答期限を平気で無視する。あるいは期限を認識していなかったと平気で言う。わざわざメール送信後電話にてリマインドしたにも関わらずだ。
「M国とのコミュニケーションに苦労しているんですけど何かいい方法は無いですかね?直接電話で連絡してもメールでリマインドしても梨の礫なんですよ」
「あー言ってなかったけ?そう言う時はティエムさん(仮)とやり取りをしながら採用活動はするんだよ」
また引き継ぎ漏れかと辟易としたが、なんでもそのティエムさんはうちのM国子会社のアドバイザーで基金の活動を何かとサポートしてくれるらしい。なるほど現地人とのコミュニケーションを行うなら現地人がベストだ理にかなってる。
早速挨拶も兼ねてティエムさんに電話をしてみる。現地に電話を掛ける際の独特の間と現地語のアナウンスを待ち、ティエムさんの内線に繋ぐ。
「Hello?」、「Oh Hello. I am Ken from Tokyo. It's my pleasure to work with you. Well, my colleague instructed to call you for support...(こんにちは東京のKenです。貴方とお仕事ができて嬉しいです。私の同僚が留学生採用のサポートについては貴方に聞くといいと言っておりまして...)」「Oh-Ok,Ok. No Probrem. I will instruct school to send you quotation(分かった分かった。ノープロブレムだ。英語学校に見積もり書を送るよう伝えるよ。)」
要件を伝えたら基本的にはすぐ電話を終わるのが日本のビジネスの現場だ、ただ、英語学校に対するやりとりを依頼するだけだったティエムさんとの電話は途中現地で起こった停電で中断されるなどのアクシデントを挟み結局一時間ほど話した。9割の内容はM国の女性がいかに美人で魅力的か、お前にも紹介する云々。ようは雑談だ。
これから様々なやりとりを行うティエムさんの最初の印象は、そう、エロジジイだ。ドラゴンボールの亀仙人のような。