国際ベンチャーキャピタリスト 奮闘史

新米ベンチャーキャピタリストが投資を通じた新興国の資本市場活性化に奔走するブログ

2週間研修~ニシエヒガシヘ~

年が明けた2018年1月、2週間研修の幕が切って落とされた。時間は早朝6時、僕は成田空港のターミナルで研修生たちが出てくるのを今か今かと待っていた。周りには、家族を待つ人、僕と同じように研修事業を行うであろう国際協力機構(JICA)の担当者、面白いネタを持つ外国人観光客を密着取材する某テレビ局のスタッフ等がいた。

補足:独立行政法人国際協力機構法に基づく独立行政法人であり、開発途上地域等の経済及び社会の開発若しくは復興又は経済の安定に寄与することを通じて、国際協力の促進並びに日本及び国際経済社会の健全な発展に資することを目的として設立。研修事業、各分野の専門家派遣のほか海外投融資も行う。

30分ほど待ちぼうけとなり、コーヒーでも買おうかと思った矢先に恐る恐るゲートをくぐる研修生達を見つけた。みんな緊張の面持ちである。自国から数千マイル離れた冬の極東アジアにこれから2週間滞在するのだ無理もない。自己紹介も早々に研修生達を滞在先のホテルに引率する。都内に向かうバスの中では研修生達が珍しそうに外の景色を眺めている。東京の古びたオフィスがいつもより輝いて見えた。ホテル到着後、2週間分の日当とポケットWi-Fiを研修生に渡し、翌日からの予定に関するブリーフィングや東京の観光スポットを紹介しその日は終わった。本当はご飯にでも連れ出そうと思ったのだが研修生たちは疲れていそうだったのでこの日はそっとする事にした。

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「○○君、研修生達がまだオフィスに来ていないんだけど、昨日はちゃんと連絡したの?」研修初日の準備に追われているとサポート要員の同期のからそんな苦言を呈された。研修最初のプログラムは役員挨拶、20分後には始まってしまう。いきなりピンチだ。引率を頼んでいた、留学生に早速電話する。

「Hey, where are you at? The first program of the day is going to start in 20min. Do you want me to pick you guys up? (いま何処にいるんだい?最初の研修プログラムがあと15分で始まってしまうよ。迎えに行こうか?)」

「Ah-Ken san, we missed Kay san. We looking for her, we are near your office..(Ken さん、ケイさんがいなくなってしまった。今みんなで彼女を探していて、僕らは会社の近くにいる。)」

ミイラ取りがミイラ取りになる予感がしたので、自分たちがいる場所の写真をSNSで共有してもらい、急いで現場に急行する。研修生達と合流後、彼女達を会社に誘導し、ケイさんが失踪したと思われる場所には自分一人で向かった。役員挨拶の会場に研修生が全員いないという最悪のシナリオを避けるためだ。

前日ホテルから会社に向かうルートを説明する際、いくつかの目印、例えば彼の国でも地名度が非常に高いUNIQLOや憧れのコーヒーチェーンのSTARBUCKS コーヒーを教えた。見たこともない細い路地を入るとは思えないから大通りを中心に攻めよう、といったような推理まがいの事を考えながらオフィス街を走っていると30メートルほど先に不安そうに携帯で自分の位置を確認するケイさんの姿を見つけた。役員挨拶まで残り約3分前にオフィスに到着。なんとか間に合ったが心臓に悪い研修初日となった。

 

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