2021年2月1日、ミャンマー連邦共和国の首都のネピドーにて最高指導者で国家顧問のアウンサンスーチー女史をはじめウィンミン大統領他、与党National League for Democracy(国民民主連盟:NLD)の議員が多数ミャンマー国軍によって拘束された。
クーデター後、ミャンマー国軍は憲法417条に基づく非常事態宣言を発令、同時に国軍最高司令官のミンアウンライン将軍が最高指導者のポストについた。クーデターの理由については2020年11月実施された国政選挙における不正調査だと言われている。
備考: Min Aung Hlaing 氏について、日本の報道ではミン・アウン・フラインと表記しているが正確な発音ではHは発音しない。また、ミャンマーでは性名の区別がないことから名前をピリオドで区切ることは正確でない。
ミャンマー連邦議会は2院政、上院に当たるHouse of Nationalities(民族代表院)及び下院に当たるHouse of Representatives(人民代表院)で構成され、軍は上院下院の議席25%が自動的に割り当てられる。同国の憲法を改正する為には75%超の賛成が必要であり、ゆえにミャンマー国軍は憲法改正に対する実質的な拒否権を持つことになる。
ミャンマーの憲法上のアウンサンスーチー女史の位置付けは国家顧問である。ミャンマーの憲法上、外国に配偶者に持つ者が国家の最高ポストにつけない事から新設されたいわば彼女のための特別ポストだ。
ミャンマー軍の実質的な拒否権に加え、議会には反NLD派の政党も多数存在する事から憲法改正は相当ハードルが高い。しかしながらNLDは憲法を骨抜きにする国家顧問のポストを新設した事、2020年の国政選挙でNLDが予想を上回る大勝した事が軍部に危機感を与えクーデターに踏み切らせたという観測が高い。
ミャンマー国軍のクーデターは国内のインターネットの遮断からアウンサンスーチー女史の拘束、NLD本部前への強制捜査に至るまで極めて統制が取れていた。相当前から2月1日をDデーと準備を進めていた事が想像される。
ミャンマーでは全土で国民がCivil Disobedience Movementのスローガンの下、大規模な抗議運動を行なっている。国軍もデモを抑えるためインターネットの遮断や集会の禁止など鎮静化を図っているが、国民はVPNや口コミなどのオフラインで運動を継続している。
抗議運動については当初平和的に実施されていたが、フェイクニュースの拡散や、真偽は不明だが、軍がデモ隊に対立する親軍派勢力に金銭を渡し抗議運動を妨害している旨Facebookで投稿されるなど非常に混乱している。
当ブログの舞台はミャンマー連邦共和国だ。
基金での活動を通じて僕には多くのミャンマー人の友人がおり、うち1名は昨年の国政選挙で政治家として当選した。
ミャンマーの成長は日本にとってもポジティブであり、このような形でミャンマーを紹介する事になったのはとても残念だ。ミャンマーの政治情勢は日々変わっている。現地の声にしっかり耳を傾けて状況を発信したいと思う。